融資年数と表面利回りから見る、物件購入の簡易的な判断基準

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今回は、物件を購入する際の融資年数と表面利回りから、
物件の採算が合うか、合わないかを簡易的に判断するための
考え方
について検討してみました。

この記事を書こうとしたきっかけは、
ここしばらくお世話になっている仲介業者の
営業さんから、このようなアドバイスを
頂いたことがきっかけです。

物件の融資年数に応じて、
欲しい表面利回りが変わってくる。
勿論物件ごとの際はあるためあくまでも
簡易的な判断材料だが、おおむねこの融資年数なら
これくらいの利回りが欲しい、という基準がある。

融資年数が、
10年なら16.5%
15年なら13%
20年なら10.5%
25年以上なら8%

これが、物件を運用していく際の
大まかな指標になるとのことです。

この基準について、実際に検討してみたいと思います。
なお、これから検討する内容はあくまでも私個人の
シミュレーション
になりますので、
いやその想定じゃ甘いよ、というご意見があれば
是非Twitter等でご指摘いただければと思います。

なお、検討の前提条件は以下の通り。

中古アパート、残存耐用年数は10年とする。
買値3,000万円(土地建物割合は1:1)
元利均等返済
稼働率7割で計算する
(管理費や入退去に伴う費用を稼働率に含めて計算する)
本体を全額フルローンで購入し、金利を1.8%とする
構造による固定資産税、火災保険等の金額の変動や、大規模修繕等は考慮しない

前提が色々おかしいところや、多少の計算の差異はあると思いますが、
あくまでもおおよそのシミュレーションとしてご笑覧いただければと。

というわけで。
諸々手元のシミュレーションソフト等をいじりながら検討してみたのですが、
その結果、以下の答えが出てきました。

・上記内容は、安全圏ではなく運営が成り立つギリギリライン
・高利回りであっても、融資年数が伸びないと手元には残らない
・小ロット物件の場合は、稼働率低下しやすく、逆ザヤのリスクが高まる
・融資年数が伸びない場合、売りやすい物件を買うことが大事
・結局自己資本もってる人が強い
・新築か、無借金がいい
・収益率が低い物件をフルローンで購入すると、返済比率が高水準になり危険

私の手元にあったスマホアプリ
「一棟買いLite」で検討した結果、以下のとおりとなりました。

まず、利回り16.5%、10年返済の場合。
やはり高利回りということもあって、収入が大きく、
これならば経費が多少かかったとしても飲み込んでくれそうです。
しかし、年間の返済額が年収495万円に対し328万円となり、
返済比率は約66%と高い水準にあります。

さらに、物件の稼働率が7割と仮定した場合、
持ち出しが出てしまっています。
やはり融資年数が伸びないと返済比率が大きくなり、
賃貸経営がうまくいかなかったときのリスクが高いといえるでしょう。

稼働率7割は割と悲観的なシミュレーションですが、
例えば物件のロットが小さい(4部屋)などの場合は、
年間二部屋退去が出て、ルームクリーニングや修繕費等を
考慮した場合にその水準まで収益が落ちる可能性はあるでしょう。

利回り16%を超えるアパートは早々出てきませんし、
高収益といってよい水準だと思いますが、それでも融資年数が
伸びないと逆ザヤのリスクがあるということですね。

これに対する解決策としては、
自己資金を入れて返済比率を下げる。
売却しやすい(ロットが小さめで、融資が付きやすい)物件を購入する。

ということになるでしょうか。
融資年数が短いということは、運営期間中はカツカツですが、
逆に返済が終わればかなり楽になるということでもあります。

長期間保有して10年後の果実を楽しむか、
売りやすい、手離れのいい物件を選ぶことが大事になります。

融資期間が延びない築古のアパートを買ってしまうと、
売却も難しく、ローン返済後も果実を得られる期間が短いと
良いことが無いなと感じてしまいます。

築古の場合であれば、これ以上の収益性が必要であり、
かつ好立地で解体後に再建築や土地売りができる場所でないと
売れなくて、返済比率も高い、という危険な取引になりそうですね。

続いて、利回り13%、15年返済の場合。
私のように、融資を引いて中古アパートを購入しようと計画している
人間にとっては、この辺りが現実的に狙っていけるラインだと思います。

この場合だと、家賃収入390万円に対し年返済は228万円。
返済比率は58%で、やや高めです。

この想定だと、稼働率7割でも逆ザヤにはなりませんが、
3,000万円の借入に対し年間キャッシュフロー約16万は物足りない数値です。

これは稼働率を低めにしておりますが、稼働率90%まで高めることができれば
年間90万円のプラス。
現実的に7割~9割の間に落ち着くとすれば、マイナスにはならずとも
手残りは借り入れに対してかなり少額かなという印象です。

また、返済比率も6割近いため、単体の取引としては
依然危険な水準であることは変わりません。

総じて、ギリギリ何とかなるけど安全ではない、という印象でしょうか。

続いて、利回り10.5%、20年返済の場合。
築30年前後のRCを融資を引いて買おうとするとこういったイメージになるのでは
ないでしょうか。

この場合は、家賃収入300万円に対して
返済は178万円。返済比率は59%。
相変わらずギリギリの収支ラインであることがわかります。
稼働率7割で、ギリギリキャッシュフローはトントンというところ。

しかしながら、返済期間も長いため、
支払金利や元金の減らなさを考えると、
築古物件でこのプランを検討すると微妙かもしれません。
特に、前述した中古RCなどは大規模修繕のリスクもあるため、
このプランよりも厳しめにシミュレーションする必要があるでしょう。

最後に、利回り8%の物件を25年返済で購入した場合。
新築物件だとこのようなイメージになるでしょうか。
賃料240万に対し、返済149万円。返済比率62%で
やはり危険水準といえるでしょう。

このプランで稼働率7割だと、逆ザヤのリスクが出てしまいます。
競争力のある新築物件ならここまで稼働率が下がる可能性は
低いのでしょうが、土地の値段が高いエリアで築古の物件を
掴んでしまうと、やはり運営は厳しくなるのではないでしょうか。

ということで、すべてのケースを検討した結果、
高稼働率で運営できた場合は
問題ないと思いますが、ロットが小さく経費率が高い場合や
築古で競争率が低かったり、エリアが悪く稼働率が
低くなりそうな物件を上のイメージで購入すると
かなりぎりぎりの運営になってしまう
事がわかりました。

特に私のような初期ステージにこれから立ちたいと考える
人間は、小さいロットで始めますので、一件一件の
入退去のインパクトが大きく、もっとコンサバティブな
運営をしていかないと逆ザヤ、持ち出しのリスクが高まるといえるでしょう。

逆に、経験値がある方や、物件のロットが大きく入退去経費のインパクトが小さい場合、
あるいは新築、築浅など競争力のある物件であれば
全体平均で稼働率をもっと高水準に高めることもできるでしょう。

また、今回はすべてフルローンの想定でシミュレーションを
しておりますので、なんだかんだで自己資金は大事だということです。

私自身、本当に毎回毎回この自己資金の重要性を痛感しており、
資本があればもっと安全に運営でき、融資もテーブルに乗りやすいのだろうと
思うと、これまでの人生の散財が悔やまれます笑

さらに、このようにシミュレーションをしておりますと、
先輩大家さんが仰る「売却を絡めて資本拡大する」
という話がより腹落ちするようになります。

特に、返済期間が15年前後だと、一般的な利回りのアパートを買っても
修繕費や借り入れの返済であまり手元には残らないことがわかります。

ですから、インカムを得ながら借り入れの返済をすることで
元本を返済し、売却時の含み益を拡大することの重要性がわかってきます。

今回のシミュレーションで、3,000万円の物件を1.8%の15年ローンで組むと、
年間の返済はざっくり230万円くらいで、元金が160万円前後減っていきます。

(元利均等返済と仮定場合の、ざっくりした平均です)

これを、個人で保有して長期譲渡になる5年間保有したとすると、
元金が800万減っていますので、5年後に1割減の2,700万円くらいで売却出来たら
500万円プラスになるわけです。

(実際は税金や仲介手数料でこの限りではないのですが、
そこは家賃収入と相殺したとしましょう。)

ですから、こうしたプランを考えるのであれば
5年後でもなお売りやすい、つまり築浅で融資が付きやすい、
かつ市街化区域で土地の評価が高い物件を購入することが大切になります。

逆に、売却をしない場合であれば。
地方都市のさらに地方のような田舎で買い板が薄い物件であれば
自己資金を厚めに、あるいは現金買いで購入し、
しっかり高利回り物件として収益を確保してくれる物件でないと
借入を起こしてまで買うには微妙、ということになるのではないでしょうか。

と、いうわけで仲介さんからのアドバイスを枕に
色々シミュレーションをしてみましたが、これもあくまで
様々な判断基準の一つでしかありません。

また、私自身まだまだ素人ですので
このシミュレーションの精度も正直ガバガバだと思います笑

なので、つっこみ所も多々あるかと思いますので、是非ご指摘いただければと思います。

この精度を上げつつ、大金が動く不動産の世界に
飛び込み、しっかり長期間泳いでいけるように、
引き続き勉強と蓄財を楽しんでいきたいと思います。

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